古い柱時計や古い家具も一緒に蘇生

「解体して、建て直したほうがいい」と言われていた時、僕達と知り合いました。
「もったいない・・・
現地調査をしたとき、思わず出た僕たちの言葉・・・・
こんな出逢いから古民家蘇生が始まりました。

僕たちが考える古民家蘇生は建てられた時の状態に戻す復元、保存や懐古趣味的な古材の再利用でもありません。古民家の持つ量感や奥行き、スケールなど最大限に生かし、そこに新しい現在の生活の器に相応しい住宅として蘇らせることです。
古民家は建てられたときのままというものはあまり在りません。何らかの手が加えられています。文化財の保護ではないので当然のこと。蘇生したけど、住みにくければ次世代に残していけません。
古民家蘇生は現代住宅をつくるという立場で取り組んでいくものではないかと考えました。

すべての古民家に言える、暗さ、寒さ、家事に従事するものにとっては使いづらい、個人のプライベートが確保できない、段差がある・・
日常の生活での問題が沢山あります。
その難題を設計期間約1年、施工約8ヶ月かけ施工。
この草津のO様邸には、今は亡き80年前大工さんを初め、職人の美意識、技術がそこにありました。
柱、梁の複雑な組方、敷居、鴨居等の緻密で美しい造作、土壁の塗り方などに生きてそこにありました。
そこに今回、お施主様と僕たちと設計士、延べ数百人の職人さんたちが新たな息吹きを吹き込み、この工事を終えました。
そして、また何十年も家族と共に生き続けるでしょう。

古民家再生-草津-平屋
手前の平屋は昔、農機具小屋であった倉庫、今は奥様のピアノレッスン室。 将来、ホームシアターも検討中。
古民家再生-草津-玄関
玄関は段差を緩やかにし明るい色調に変えました。
太い梁や柱を表しました。 暖房として、床暖房と薪ストーブを設置。